デービッド・アイベンは、『ボラティリティは我々が気にするリスクではない。我々が気にかけるのは、資本の永久的な損失を避けることだ』。 つまり、賢明な投資家たちは、倒産につきものの負債が、企業のリスクを評価する上で非常に重要な要素であることを知っているようだ。 他の多くの企業と同様、大同特殊鋼株式会社(東証:5471)も倒産した。(TSE:5471)は負債を利用している。 しかし、本当の問題は、この負債が会社をリスキーにしているかどうかである。
なぜ負債がリスクをもたらすのか?
一般的に言って、負債が現実的な問題となるのは、企業が資本調達や自らのキャッシュフローで容易に返済できなくなった場合のみである。 資本主義の一部とは、失敗した企業が銀行家によって容赦なく清算される「創造的破壊」のプロセスである。 しかし、より頻繁に起こる(しかし依然としてコストのかかる)事態は、企業がバランスシートを補強するためだけに、バーゲン価格で株式を発行し、株主を永久に希薄化させなければならない場合である。 しかし、希薄化の代わりに負債を活用することで、高い収益率で成長に投資するための資金を必要とする企業にとって、負債は非常に優れた手段となり得る。 企業がどの程度の負債を使用するかを検討する際に最初に行うべきことは、現金と負債を合わせて見ることである。
大同特殊鋼の負債額は?
下の画像をクリックすると詳細が表示されるが、大同特殊鋼の2024年3月末の有利子負債は1,746億円で、1年前の2,343億円から減少している。 一方、現金は642億円あり、純有利子負債は約1,104億円となっている。
大同特殊鋼の負債について
直近の貸借対照表を見ると、1年以内に返済期限が到来する負債が1,547億円、それ以降に返済期限が到来する負債が1,652億円ある。 一方、現金は642億円、1年内回収予定の債権は1,555億円ある。 負債は現金と短期債権の合計より1,002億円多い。
大同特殊鋼の企業価値は3,166億円であり、必要であればバランスシートを補強するのに十分な資本を調達することが可能であろうから、この赤字はそれほど悪くはない。 しかし、債務返済能力を注意深く見る価値はある。
私たちは、純有利子負債をEBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)で割った数値と、EBIT(利払い前・税引き前利益)がどれだけ容易に支払利息をカバーできるか(インタレスト・カバー)を計算することによって、企業の収益力に対する負債負担を測定する。 従って、減価償却費の有無にかかわらず、利益に対する有利子負債を考慮する。
大同特殊鋼のEBITDAに対する純有利子負債の比率は約1.6であり、有利子負債の使用は中程度であることを示唆している。 また、EBITが支払利息の1,000倍というのは、負債の負担が孔雀の羽のように軽いことを意味する。 しかし悪いニュースは、大同特殊鋼のEBITが過去12ヶ月で10%も急落していることだ。 このような業績が頻繁に繰り返されれば、大同特殊鋼の株価は困難に陥るだろう。 負債水準を分析する場合、バランスシートから始めるのは当然である。 しかし、大同特殊鋼が今後健全なバランスシートを維持できるかどうかを決めるのは、何よりも将来の収益である。 プロフェッショナルの意見を知りたい方は、アナリストの利益予測に関する無料レポートが面白いかもしれない。
最後に、企業は負債を返済するためにフリーキャッシュフローを必要とする。 そこで論理的なステップとしては、実際のフリー・キャッシュ・フローに見合ったEBITの割合を見ることである。 過去3年間、大同特殊鋼のフリー・キャッシュ・フローは合計でマイナスだった。 フリー・キャッシュ・フローが信頼できない企業にとって、借入金ははるかにリスクが高いため、株主は過去の支出が将来フリー・キャッシュ・フローを生み出すことを期待すべきである。
当社の見解
大同特殊鋼のEBITからフリー・キャッシュ・フローへの変換率とEBIT成長率は、我々の評価では間違いなく重荷である。 しかし、大同特殊鋼はEBITで支払利息を容易にカバーできるようだ。 これらの要因を考慮すると、大同特殊鋼は借入金によってリスクを取っているように思われる。 負債がリターンを高める可能性はあるが、同社は現在十分なレバレッジを有していると考える。 負債を分析する際、バランスシートに注目すべきなのは明らかだ。 しかし最終的には、どの企業もバランスシートの外に存在するリスクを含みうる。 その例を挙げよう: 大同特殊鋼について、注意すべき3つの警告サインを 発見した。
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