Stock Analysis

九電工 (東証:1959) 借入金はむしろ控えめなようだ

TSE:1959
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ハワード・マークスは、株価の変動を心配するよりも、『恒久的な損失の可能性こそ、私が心配するリスクであり、私が知っている実践的な投資家は皆、心配している』と言った。 事業の破綻には負債が絡むことが多いからだ。 重要なのは、九電工株式会社(東証:1959)が負債を抱えていることだ。 しかし、より重要な問題は、その負債がどれほどのリスクを生み出しているかということだ。

負債が問題となるのはどのような場合か?

借金はビジネスを成長させるためのツールだが、もしビジネスが貸し手に返済できないのであれば、そのビジネスは貸し手の言いなりになってしまう。 事態が本当に悪化すれば、貸し手はビジネスをコントロールすることができる。 しかし、より一般的な(それでも痛みを伴う)シナリオは、低価格で新たな株式資本を調達しなければならず、その結果、株主が恒久的に希薄化することである。 とはいえ、最も一般的な状況は、企業が負債を合理的に管理し、自社に有利になるようにすることである。 負債水準を検討する際には、まず現金と負債の両方を合わせて検討する。

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九電工の負債は?

下記の通り、2024年3月時点の有利子負債は320億円で、前年とほぼ同水準である。グラフをクリックすると詳細が表示される。 ただし、985億円のキャッシュがあり、これを相殺すると666億円のネットキャッシュとなる。

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東証:1959 2024年7月15日現在の有利子負債残高の推移

九電工の負債について

直近の貸借対照表を見ると、1年以内に返済期限が到来する負債が1,955億円、それ以 降に返済期限が到来する負債が166億円ある。 一方、現金は985億円、12ヶ月以内に返済期限の到来する債権は1649億円ある。 つまり、流動資産は負債総額を513億円上回っている。

この黒字は、九電工が保守的なバランスシートを持っていることを示唆している。 簡単に言えば、九電工が負債よりも現金の方が多いという事実は、負債を安全に管理できることを示唆していると言って間違いないだろう。

また、九電工のEBITが昨年18%増加したことも、負債を管理する能力をさらに高めている。 負債水準を分析する場合、バランスシートが出発点となるのは明らかだ。 しかし、最終的には事業の将来の収益性が、九電工が長期的にバランスシートを強化できるかどうかを決定する。 将来に焦点を当てるのであれば、アナリストの利益予測を示したこちらの無料レポートをご覧いただきたい。

最後に、企業が負債を返済できるのは、会計上の利益ではなく、冷厳な現金だけである。 九電工の貸借対照表にはネットキャッシュが計上されているかもしれな いが、金利・税引前利益(EBIT)をフリーキャッシュフローにどれだけ変換でき ているかを見るのは興味深い。 直近の3年間で、九電工はEBITの56%に相当するフリー・キャッシュ・フローを記録した。フリー・キャッシュ・フローが利子と税金を除いたものであることを考えると、これは通常の水準である。 フリー・キャッシュ・フローが利払いや税金を含まないことを考えれば、このキャッシュ・フローは普通である。

まとめ

負債を懸念する投資家の意見には共感するが、九電工には666億円のネットキャッシュがあり、負債よりも流動資産の方が多いことを念頭に置くべきである。 また、昨年度のEBIT成長率は18%であった。 では、九電工の負債はリスクなのだろうか?我々はそうは思わない。 他の多くの指標よりも、一株当たり利益がどれくらいのペースで伸びているかを追跡することが重要だと考えている。というのも、本日、九電工の一株当たり利益の推移をインタラクティブなグラフで無料で見ることができるからだ。

もちろん、もしあなたが負債を背負わずに株を買いたいタイプの投資家なら、躊躇することなく、当社の純現金成長株リストをご覧いただきたい。

This article has been translated from its original English version, which you can find here.