Stock Analysis
デービッド・アイベンは、『ボラティリティは我々が気にするリスクではない。我々が気にかけるのは、資本の永久的な損失を避けることだ』。 つまり、賢い投資家は、倒産につきものの負債が、企業の危険性を評価する上で非常に重要な要素であることを知っているようだ。 重要なのは、戸田工業(東証:4100)は負債を抱えているということだ。 しかし、本当の問題は、この負債が会社をリスキーにしているかどうかである。
負債がもたらすリスクとは?
借入金は、事業が新たな資本またはフリー・キャッシュ・フローで返済に窮するまで、事業を支援する。 資本主義の一部には、失敗した事業が銀行家によって容赦なく清算される「創造的破壊」のプロセスがある。 これはあまり一般的ではないが、負債を抱えた企業が、貸し手によって窮迫した価格で資本を調達させられ、株主を永久に希薄化させることはよくあることだ。 もちろん、負債の利点は、それがしばしば安価な資本を意味することであり、特に企業の希薄化を高い収益率で再投資する能力に置き換えた場合である。 企業がどの程度の負債を使用するかを検討する際に最初に行うべきことは、現金と負債を合わせて見ることである。
戸田工業の純負債は?
下の画像をクリックすると詳細が表示されるが、2024年6月時点で戸田工業の有利子負債は272億円で、1年後の259億円から増加している。 一方、現金は70.5億円あり、純有利子負債は約201億円である。
戸田工業の負債について
直近の貸借対照表を見ると、1年以内に返済期限が到来する負債が216億円、それ以 降に返済期限が到来する負債が172億円ある。 その一方で、70億5,000万円の現金と85億5,000万円の1年内返済予定の債権がある。 つまり、現預金と1年以内の売掛金を合わせると232億円の負債があることになる。
この不足分は88.2億円の会社そのものに重くのしかかり、まるで子供が本やスポーツ用品、トランペットを詰め込んだ巨大なリュックを背負って苦労しているようなものだ。 そのため、バランスシートを注意深く見ることは間違いない。 結局のところ、戸田工業は今日債権者に支払わなければならないのであれば、大規模な資本増強が必要になるだろう。
我々は、利益に対する負債水準について知るために、主に2つの比率を用いる。ひとつは純有利子負債をEBITDA(金利・税金・減価償却費控除前利益)で割ったもので、もうひとつはEBIT(金利・税金・減価償却費控除前利益)が支払利息を何倍カバーしているか(略してインタレストカバー)である。 このように、負債の絶対額と支払金利の両方を考慮する。
戸田工業の株主は、EBITDAに対する純有利子負債の比率が高い(14.4)という二重苦に直面しており、EBITは支払利息のわずか0.76倍であるため、インタレスト・カバレッジはかなり弱い。 つまり、負債負担が重いと考えられる。 さらに悪いことに、戸田工業のEBITは昨年1年間で61%減少している。 長期的に収益がこのまま推移すれば、負債を返済できる可能性は雪だるま式に低くなる。 負債水準を分析する場合、バランスシートから始めるのは当然である。 しかし、戸田工業が負債を返済するためには収益が必要であるため、負債を完全に切り離して考えることはできない。 そのため、負債を検討する際には、収益動向を見る価値があることは間違いない。インタラクティブなスナップショットはこちら。
というのも、企業は紙の利益では負債を支払えないからだ。 つまり、EBITがフリー・キャッシュ・フローにつながっているかどうかを見る必要がある。 過去3年間、戸田工業は多くのキャッシュを消費した。 これは成長のための支出の結果かもしれないが、負債のリスクをはるかに高めている。
我々の見解
率直に言って、戸田工業のEBIT成長率と負債総額の超過達成の実績は、その負債水準にむしろ不安を抱かせる。 また、金利のカバー率でさえ、あまり信頼感を抱かせるものではない。 以上述べてきたことを考慮すると、戸田工業は重い負債を抱えていると言っていいだろう。 火遊びをすれば火傷するリスクがある。 負債を分析する際、バランスシートに注目すべきなのは明らかだ。 しかし最終的には、どの企業もバランスシートの外に存在するリスクを含みうる。 例えば、 戸田工業の注意すべき兆候を1つ挙げて みた。
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