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トクヤマ(東証:4043)の貸借対照表はかなり健全だ

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TSE:4043

ウォーレン・バフェットは、『ボラティリティはリスクと同義ではない。 事業が破綻する際には負債が絡むことが多いため、企業のリスク度を検討する際にバランスシートを考慮するのは当然のことだ。 重要なのは、株式会社トクヤマ(東証:4043)が負債を抱えていることだ。 しかし、この負債は株主にとって懸念事項なのだろうか?

借金はいつ危険なのか?

借金は企業の成長を助けるツールだが、もし企業が貸し手に返済する能力がなければ、その企業は貸し手の言いなりになってしまう。 最終的に、会社が法的な債務返済義務を果たせなければ、株主は何も手にすることができない。 しかし、より頻繁に発生する(それでもなおコストがかかる)事態は、会社がバランスシートを補強するためだけに、バーゲン価格で株式を発行し、株主を永久に希薄化させなければならない場合である。 とはいえ、最も一般的な状況は、企業が負債を合理的に管理し、自社に有利になるようにすることである。 負債水準を検討する際には、まず現金と負債水準の両方を合わせて検討する。

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トクヤマの負債額は?

下の画像をクリックすると詳細が表示されるが、2024年12月末の有利子負債は1,045億円で、1年前の1,127億円から減少している。 ただし、696億円の現金があり、これを相殺すると、純有利子負債は約349億円となる。

東証:4043 負債資本比率の推移 2025年3月6日

トクヤマのバランスシートの健全性は?

直近の貸借対照表によると、12カ月以内に返済期限が到来する負債が941億円、12カ月以 上を返済期限とする負債が1,133億円ある。 一方、現金は696億円、1年以内に期限の到来する債権は823億円。 負債は現金と短期債権の合計より553億円多い。

時価総額は2,035億円であり、増資によってバランスシートを強化することは可能だろう。 しかし、有利子負債が過剰なリスクをもたらしているとの指摘がないか、注意は怠らないようにしたい。

企業の収益に対する負債を評価するために、純負債をEBITDA(利払い・税引き・減価償却・償却前利益)で割り、EBIT(利払い・税引き前利益)を支払利息(インタレストカバー)で割って計算する。 この手法の利点は、有利子負債の絶対額(EBITDAに対する純有利子負債)と、その有利子負債に関連する実際の支払利息(インタレスト・カバレッジ・レシオ)の両方を考慮することである。

トクヤマの純負債はEBITDAのわずか0.77倍である。 また、EBITDAは444倍であり、支払利息を容易にカバーできる。 つまり、トクヤマの超保守的な有利子負債の使い方については、かなり寛容なのだ。 加えて、トクヤマがEBITDAを64%増加させ、将来の負債返済の可能性を減らしたことは喜ばしい。 負債についてバランスシートから最も多くを学ぶことは間違いない。 しかし、今後トクヤマが健全なバランスシートを維持できるかどうかを決めるのは、何よりも将来の収益である。 プロフェッショナルの意見を知りたいなら、アナリストの利益予測に関する無料レポートが面白いかもしれない。

なぜなら、企業は紙の利益では負債を支払えないからだ。 つまり、EBITが対応するフリー・キャッシュ・フローにつながっているかどうかを見る必要がある。 過去3年間、トクヤマのフリー・キャッシュ・フローはマイナスだった。 フリー・キャッシュ・フローが不安定な企業にとって、借金ははるかにリスクが高い。従って株主は、過去の支出が将来フリー・キャッシュ・フローを生み出すことを期待すべきである。

当社の見解

良いニュースは、トクヤマがEBITで支払利息をカバーする能力を実証していることである。 しかし、EBITからフリー・キャッシュフローへの転換は逆効果であることを認めざるを得ない。 以上の要素を総合すると、トクヤマは負債をかなり楽に処理できるように思える。 もちろん、レバレッジは株主資本利益率(ROE)を高めるが、その分リスクも高くなる。 負債水準を分析する場合、バランスシートから始めるのは当然である。 しかし、すべての投資リスクがバランスシートの中にあるわけではありません。 こうしたリスクを見つけるのは難しい。どの企業にもあるものだが、 トクヤマには知って おくべき 警告サインが1つ ある。

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