投資家としてリスクを考えるには、負債よりもむしろボラティリティが一番だと言う人もいるが、ウォーレン・バフェットは『ボラティリティはリスクと同義とは程遠い』と言ったのは有名な話だ。 事業が破綻するときには負債が絡むことが多いのだから、企業のリスク度合いを調べるときにバランスシートを考慮するのは当然のことだ。 日本電産株式会社(東証:6594)のバランスシートには負債がある。 しかし、株主は負債の使用を心配すべきなのだろうか?
負債はいつ危険なのか?
借入金は、事業が新たな資本やフリー・キャッシュ・フローで返済に窮するまで、事業を支援する。 事態が本当に悪化した場合、貸し手は事業をコントロールすることができる。 しかし、より一般的な(それでも痛みを伴う)シナリオは、低価格で新たな株式資本を調達しなければならず、その結果、株主が恒久的に希薄化することである。 もちろん、多くの企業が成長資金を調達するために負債を利用しているが、その場合、マイナスの影響はない。 負債水準を検討する際には、まず現金と負債の両方を合わせて検討する。
日本電産の負債は?
下記の通り、日本電産の有利子負債は2023年12月時点で6,946億円で、前年とほぼ同水準である。グラフをクリックすると詳細が表示される。 ただし、現金が2,048億円あり、これを相殺すると、純有利子負債は約4,898億円となる。
日本電産のバランスシートの強さは?
最新の貸借対照表を見ると、1年以内に返済期限が到来する負債が9,822億円、それ以降に返済期限が到来する負債が5,436億円ある。 一方、現金は2,048億円、債権は6,596億円である。 つまり、現預金と(短期)売掛金の合計より負債の方が6,614億円多い。
日本電産の時価総額は3.79兆円と巨大であるため、これらの負債が大きな脅威になるとは考えにくい。 しかし、バランスシートの強さは時間の経過とともに変化する可能性があるため、注視する価値はあると思われる。
私たちは、純有利子負債をEBITDA(金利・税金・減価償却費控除前利益)で割り、EBIT(金利・税金・減価償却費控除前利益)がどれだけ容易に支払利息をカバーできるか(インタレスト・カバー)を計算することによって、企業の収益力に対する負債負担を測定する。 この手法の利点は、有利子負債の絶対額(EBITDAに対する純有利子負債)と、その有利子負債に関連する実際の支払利息(インタレスト・カバレッジ・レシオ)の両方を考慮することである。
日本電産のEBITDAに対する純有利子負債の比率は約1.8であり、有利子負債の使用は中程度であることを示唆している。 また、EBITが支払利息の1,000倍というのは、負債の負担が孔雀の羽のように軽いことを意味する。 残念なことに、日本電産のEBITは過去4四半期で11%減少している。 このような落ち込みを食い止めなければ、負債を管理するのはブロッコリー風味のアイスクリームをプレミア価格で売るよりも難しくなるだろう。 負債を分析する際、バランスシートが重視されるのは明らかだ。 しかし、日本電産が今後健全なバランスシートを維持できるかどうかを決めるのは、何よりも将来の収益である。 プロフェッショナルの意見を知りたい方は、アナリストの利益予測に関する無料レポートが面白いかもしれない。
最後に、企業は負債を返済するためにフリーキャッシュフローを必要とする。 そこで論理的なステップとして、実際のフリー・キャッシュ・フローと一致するEBITの割合を見ることになる。 直近の3年間を見ると、日本電産のフリー・キャッシュフローはEBITの26%で、これは予想より低い。 このキャッシュフローの低さが、負債の処理を難しくしている。
当社の見解
日本電産のEBIT成長率とEBITからフリー・キャッシュ・フローへの転換率は、間違いなく日本電産に重くのしかかる。 しかし、利子カバー率は全く異なることを物語っており、ある程度の回復力を示唆している。 前述のデータを総合的に勘案すると、日本電産は負債を抱えているため、少々リスキーである。 すべてのリスクが悪いわけではなく、それが実を結べば株価のリターンを押し上げることができるからだが、この負債リスクは心に留めておく価値がある。 負債を分析する際、バランスシートが注目すべき分野であることは明らかだ。 しかし、すべての投資リスクが貸借対照表に存在するわけではなく、そうとは言い切れない。 例えば、 日本電産には注意すべき警告サインが1 つある。
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This article has been translated from its original English version, which you can find here.