Stock Analysis
投資家としてリスクを考えるには、負債よりもボラティリティが一番だと言う人もいるが、ウォーレン・バフェットは『ボラティリティはリスクと同義語とは程遠い』と言ったのは有名な話だ。 事業が破綻するときには負債が絡むことが多いのだから、企業のリスク度を調べるときにバランスシートを考慮するのは当然だ。 株式会社ジェイテクト(TSE:6473)が事業において負債を使用していることはわかる。 しかし本当の問題は、この負債が会社を危険なものにしているかどうかだ。
借金はいつ危険なのか?
借入金は、事業が新たな資本またはフリー・キャッシュ・フローで返済することが困難になるまで、事業を支援する。 最終的に、負債返済の法的義務を果たすことができなければ、株主は何も手にすることができない。 しかし、より一般的な(それでも痛みを伴う)シナリオは、低い価格で新たな株式資本を調達しなければならず、その結果、株主が恒久的に希薄化することである。 しかし、希薄化に取って代わることで、高い収益率で成長に投資するための資金を必要とする企業にとって、負債は非常に優れた手段となり得る。 私たちは、企業の負債の利用について考えるとき、まず現金と負債を一緒に見ます。
ジェイテクトの負債額は?
2024年6月時点の有利子負債は2,336億円で、前年の2,838億円から減少している。 ただし、手元資金が1,677億円あるため、純有利子負債は約660億円と少ない。
ジェイテクトの負債の推移
直近の貸借対照表を見ると、1年以内に返済期限が到来する負債が4,704億円、それ以 降に返済期限が到来する負債が3,332億円ある。 一方、現金は1,677億円、1年内回収予定の債権は3,579億円。 負債は現金と短期債権の合計より2,780億円多い。
この赤字は時価総額3,617億円に対してかなり大きいため、株主はジェイテクトの負債使途を注視する必要がある。 貸し手からバランスシートの補強を要求された場合、株主は深刻な希薄化に直面する可能性が高い。
私たちは、純有利子負債をEBITDA(利払い・税引き・減価償却・償却前利益)で割った値と、EBIT(利払い・税引き・償却前利益)が支払利息をどれだけ容易にカバーできるかを計算することによって、企業の収益力に対する負債負担を測定している。 このアプローチの利点は、有利子負債の絶対額(EBITDAに対する純有利子負債)と、その負債に関連する実際の支払利息(インタレスト・カバレッジ・レシオ)の両方を考慮することである。
ジェイテクトのEBITDAに対する有利子負債比率は0.52と低い。 そして驚くべきことに、純負債があるにもかかわらず、過去12ヶ月間、実際に支払わなければならなかった利息よりも多くの利息を受け取っている。 つまり、この企業が冷静さを保ちながら負債を抱えることができるのは間違いない。 もし経営陣が昨年のEBIT20%削減の二の舞を防げなければ、ジェイテクトにとって負債負担の控えめさが重要になるかもしれない。 企業の収益が悪化すると、貸し手との関係が険悪になることもある。 負債を分析する際、バランスシートが重視されるのは明らかだ。 しかし、ジェイテクトが今後健全なバランスシートを維持できるかどうかを決めるのは、何よりも将来の収益である。 プロフェッショナルの意見を知りたいなら、アナリストの利益予測に関する無料レポートが面白いかもしれない。
最後に、企業は負債を返済するためにフリーキャッシュフローを必要とする。 そのため、EBITがフリー・キャッシュ・フローにどれだけ裏付けられているかをチェックする価値がある。 過去3年間、ジェイテクトはEBITの66%に相当する強力なフリーキャッシュフローを生み出している。 このフリー・キャッシュ・フローにより、同社は適切なタイミングで負債を返済できる好位置につけている。
当社の見解
ジェイテクトのEBIT成長能力も負債総額の水準も、有利子負債を増加させる能力を確信させるものではない。 しかし、利子カバー率はまったく異なることを物語っており、ある程度の回復力を示唆している。 前述のデータを総合的に勘案すると、ジェイテクトの負債は少々リスキーである。 レバレッジは株主資本利益率を高める可能性があるため、必ずしも悪いことではないが、注意すべき点である。 負債を分析する際、バランスシートが注目すべき分野であることは明らかだ。 しかし最終的には、どの企業もバランスシートの外に存在するリスクを含みうる。 例えば、ジェイテクトには 1つの警告サインが ある。
もしあなたが、堅固なバランスシートを持つ急成長企業に興味があるのなら、当社の純現金成長株リストをご覧いただきたい。
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