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四国電力(東証:9507)は危険な投資か?

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TSE:9507

投資家としてリスクを考えるには、負債よりもむしろボラティリティが一番だと言う人もいるが、ウォーレン・バフェットは『ボラティリティはリスクと同義とは程遠い』と言ったのは有名な話だ。 負債過多は破滅につながる可能性があるからだ。 四国電力株式会社(東証:9507)のバランスシートには負債がある。 しかし、この負債は株主にとって懸念材料なのだろうか?

負債はいつ危険なのか?

負債は、事業が新たな資本やフリー・キャッシュ・フローで返済に窮するまで、事業を支援する。 資本主義の一部とは、失敗した事業が銀行家によって容赦なく清算される「創造的破壊」のプロセスである。 しかし、より頻繁に起こる(しかし依然としてコストのかかる)事態は、企業がバランスシートを補強するためだけに、バーゲン価格で株式を発行し、株主を永久に希薄化させなければならない場合である。 もちろん、負債もビジネス、特に資本の重いビジネスにおいては重要な手段となりうる。 企業がどの程度の負債を使うかを考える際にまず行うべきことは、現金と負債を合わせて見ることである。

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四国電力の純負債はいくらですか?

四国電力の有利子負債は、2024年3月時点で8,420億円と、1年前の9,483億円から減少している。 一方、現金は1,183億円あり、純有利子負債は約7,236億円となっている。

東証:9507 有利子負債比率の推移 2024年6月18日

四国電力のバランスシートの強さは?

直近の貸借対照表によると、四国電力の負債は12カ月以内に2,313億円、12カ月超に1.03億円となっている。 一方、12ヶ月以内に返済期限が到来する現金は1,183億円、債権は1,083億円である。 つまり、現預金と短期債権を合計すると、負債が10億4,000万円多い。

この不足は2,933億円の会社そのものに重くのしかかり、まるで子供が本やスポーツ用品、トランペットを詰め込んだ巨大なバックパックの重さに苦しんでいるかのようだ。 だから、株主はこの件を注意深く見守る必要があると思う。 結局のところ、四国電力は今日債権者に支払わなければならないとしたら、おそらく大規模な資本増強が必要になるだろう。

企業の収益に対する負債を評価するために、純負債をEBITDA(金利・税金・減価償却費控除前利益)で割り、EBIT(金利・税金控除前利益)を支払利息(金利カバー率)で割って計算する。 したがって、減価償却費の有無にかかわらず、利益に対する負債を考慮する。

四国電力のEBITDAに対する有利子負債の比率は4.9であり、これは多額の負債を意味するが、それでもほとんどのタイプの事業にとってはかなり妥当である。 しかし、そのEBITは支払利息の約18.7倍であり、そのレベルの負債を維持するために高いコストを支払っているわけではない。仮にこの低コストを維持できないとしても、これは良い兆候である。 注目すべきは、四国電力の昨年のEBITが赤字であったのに対し、直近1年間のEBITが790億円の黒字に改善したことである。 負債を分析する際、バランスシートが重視されるのは明らかだ。 しかし、四国電力が長期的にバランスシートを強化できるかどうかは、最終的には事業の将来的な収益性によって決まる。 もしあなたが将来に注目しているのであれば、アナリストの利益予測を示したこの無料レポートをご覧いただきたい。

最後に、税務署は会計上の利益を喜ぶかもしれないが、金融機関は現金しか認めない。 そのため、金利税引前利益(EBIT)が実際のフリー・キャッシュ・フローにどれだけ変換されるかをチェックすることが重要である。 四国電力の昨年度のフリー・キャッシュ・フローは、EBITの82%と予想以上に堅調だった。 このことは、債務返済を行うことが望ましい場合、四国電力にとって有利なポジションとなる。

当社の見解

四国電力の負債総額には神経質になっている。 しかし、利子カバー率とEBITからフリー・キャッシュ・フローへの転換率には明るい兆しがある。 また、四国電力の属する電気事業はディフェンシブな業界であることも注目に値する。 上記の要因を総合すると、四国電力の負債には事業リスクがあると考えられる。 そのため、レバレッジは株主資本利益率を押し上げるが、今後レバレッジが高まることはあまり望まない。 負債についてバランスシートから最も多くを学ぶことは間違いない。 しかし、すべての投資リスクがバランスシートの中にあるわけではない。 四国電力は 我々の投資分析で3つの警告サインを示して いる。

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