デービッド・アイベンは、『ボラティリティは我々が気にするリスクではない。我々が気にかけるのは、資本の永久的な損失を避けることである』。 負債過多は破滅につながる可能性があるからだ。 重要なのは、関西電力株式会社(東証:9503)が負債を抱えていることだ。 しかし、この負債は株主にとって懸念事項なのだろうか?
負債はいつ問題になるのか?
負債は、事業が新たな資本やフリー・キャッシュ・フローで返済に窮するまで、事業を支援する。 資本主義の一部とは、失敗した事業が銀行家によって容赦なく清算される「創造的破壊」のプロセスである。 しかし、より頻繁に起こる(しかし依然としてコストのかかる)事態は、企業がバランスシートを補強するためだけに、バーゲン価格で株式を発行し、株主を永久に希薄化させなければならない場合である。 とはいえ、最も一般的な状況は、企業が負債を合理的に管理し、自社に有利になるようにすることである。 企業がどの程度の負債を利用しているかを考える際にまず行うべきことは、現金と負債を合わせて見ることである。
関西電力の純有利子負債は?
下の画像をクリックすると詳細が表示されるが、関西電力の2024年3月末の有利子負債は4.04億円で、1年前の5.01億円から減少している。 ただし、4,959億円の現金があり、これを相殺すると純有利子負債は約3.55億円となる。
関西電力の負債の推移
直近の貸借対照表を拡大すると、12カ月以内に返済期限が到来する負債が1.61億円、それ以 降に返済期限が到来する負債が50.9億円ある。 一方、現金は4959億円、12カ月以内に返済期限の到来する債権は3845億円ある。 つまり、現金と(短期)債権の合計より負債の方が5.82億円多い。
この不足は、2.46億円の会社そのものに重くのしかかる。あたかも、子供が本やスポーツ用品、トランペットを詰め込んだ巨大なリュックサックの重さに苦しんでいるかのようだ。 だから、株主はこの件を注意深く見守る必要があると思う。 結局のところ、関西電力は債権者から返済を要求されれば、大規模な資本増強が必要になるだろう。
私たちは、利益に対する負債水準を知るために、主に2つの比率を使っている。ひとつは、純有利子負債をEBITDA(金利・税金・減価償却費控除前利益)で割ったもので、もうひとつは、EBIT(金利・税金・減価償却費控除前利益)が支払利息を何倍カバーしているか(略してインタレストカバー)である。 したがって、減価償却費の有無にかかわらず、利益に対する負債を考慮する。
関西電力のEBITDAに対する有利子負債の比率は3.2である。 しかし、インタレスト・カバレッジは1kと非常に高く、負債にかかる支払利息は現在かなり低いことを示唆している。 また、関西電力のEBITが昨年の赤字から7,290億円の黒字に改善したことにも注目したい。 負債水準を分析する場合、バランスシートから始めるのは当然である。 しかし、関西電力が長期的にバランスシートを強化できるかどうかは、最終的には事業の将来的な収益性によって決まる。 プロフェッショナルの意見を知りたい方は、アナリストの利益予測に関する無料レポートが面白いかもしれない。
最後に、企業が負債を返済するためにはフリーキャッシュフローが必要である。 そのため、金利税引前利益(EBIT)が実際のフリーキャッシュフローにどれだけ変換されるかをチェックすることが重要である。 昨年、関西電力はEBITの96%に相当するフリーキャッシュフローを記録した。 これは、通常予想されるよりも強力なものである。
当社の見解
関西電力の負債総額には神経質になっている。 しかし、金利カバー率とEBITからフリー・キャッシュ・フローへの転換率には明るい兆しがある。 また、関西電力が電気事業に属していることも注目に値する。 前述のデータを総合的に勘案すると、関西電力の負債はややリスキーである。 すべてのリスクが悪いというわけではなく、それが実を結べば株価のリターンを押し上げることもあるが、この負債リスクは念頭に置いておく価値がある。 負債レベルを分析する場合、バランスシートは当然始めるべき場所である。 しかし最終的には、どの企業も貸借対照表の外に存在するリスクを含みうる。 例えば、 関西電力の注意すべき兆候を3つ 挙げてみた (1つは少し気になる) 。
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