Stock Analysis

富士ソフト(東証:9749)の4つの指標は有利子負債を合理的に活用していることを示している

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TSE:9749

投資家としてリスクを考えるには、負債よりもむしろボラティリティが一番だと言う人もいるが、ウォーレン・バフェットは『ボラティリティはリスクと同義語とは程遠い』と言ったのは有名な話だ。 というのも、負債が多すぎると企業が沈没する可能性があるからだ。 他の多くの企業と同様、富士ソフト株式会社(東証:9749)も負債を利用している。 しかし、株主はその負債の使い方を心配すべきなのだろうか?

負債がもたらすリスクとは?

借入金やその他の負債が企業にとってリスクとなるのは、フリーキャッシュフローや魅力的な価格での資本調達によって、その債務を容易に履行できない場合である。 資本主義の一部とは、失敗した事業が銀行家によって容赦なく清算される「創造的破壊」のプロセスである。 しかし、より一般的な(それでも痛みを伴う)シナリオは、低価格で新たな資本を調達し、株主を恒久的に希薄化させることである。 とはいえ、最も一般的な状況は、企業が負債を合理的に管理し、自社に有利になるようにすることである。 負債水準を検討する際には、まず現金と負債の両方を合わせて検討する。

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富士ソフトの負債とは?

下のグラフをクリックすると過去の数字が表示されるが、2024年3月時点で富士ソフトの有利子負債は523億円で、1年前の290億円から増加している。 ただし、現金は409億円あるので、ネット有利子負債は114億円。

東証:9749 負債比率の推移 2024年7月12日

富士ソフトのバランスシートの強さは?

最新の貸借対照表を見ると、1年以内に1,213億円、それ以降に73億2,000万円の負債がある。 一方、現金は409億円、12ヶ月以内に返済期限の到来する債権は656億円ある。 つまり、現預金と短期債権を合わせた額より、負債が222億円多い。

もちろん、富士ソフトの時価総額は4,576億円であるため、これらの負債は管理可能であろう。 とはいえ、同社のバランスシートが悪い方向に変化しないよう、注視し続ける必要があることは明らかだ。

私たちは、純有利子負債をEBITDA(金利・税金・減価償却費控除前利益)で割った値と、EBIT(金利・税金・減価償却費控除前利益)がどれだけ容易に支払利息をカバーできるか(インタレストカバー)を計算することによって、企業の収益力に対する負債負担を測定する。 このように、減価償却費の有無にかかわらず、利益に対する有利子負債を考慮する。

富士ソフトの純負債はEBITDAのわずか0.45倍であり、汗をかくことなくレバレッジを拡大できることを示唆している。 そして驚くべきことに、純負債があるにもかかわらず、過去12ヶ月間、実際に支払わなければならなかった利息よりも多くの利息を受け取っている。 つまり、同社は鉄板焼きの名シェフが料理を作るように負債を処理することができるのだ。 良いニュースは、富士ソフトが12ヶ月間でEBITを9.2%増加させたことである。 貸借対照表から負債について最もよくわかるのは間違いない。 しかし、富士ソフトが長期的にバランスシートを強化できるかどうかは、最終的には事業の将来的な収益性によって決まる。 だから、もしあなたが将来を重視するなら、アナリストの利益予測を示したこの無料レポートをチェックすることができる。

最後に、企業が負債を返済できるのは、会計上の利益ではなく、冷厳な現金だけである。 そこで論理的なステップは、実際のフリー・キャッシュ・フローに見合うEBITの割合を見ることである。 過去3年間、富士ソフトのフリー・キャッシュ・フローはEBITの24%で、予想より少なかった。 借金の返済を考えると、これはあまり良いことではない。

当社の見解

富士ソフトの金利カバー率は、クリスティアーノ・ロナウドが14歳以下のGK相手にゴールを決めるのと同じくらい簡単に負債を処理できることを示唆している。 しかし実のところ、EBITからフリー・キャッシュ・フローへの換算は、この印象を少し弱めるものだと我々は感じている。 前述の要素を総合すると、富士ソフトは負債をかなり楽に処理できるように思われる。 もちろん、レバレッジは株主資本利益率(ROE)を高めるが、その分リスクも高くなる。 負債についてバランスシートから最も多くを学べることは間違いない。 しかし、すべての投資リスクがバランスシートの中にあるわけではない。 例えば、 富士ソフトには注意すべき警告サインが1 つある。

それでもなお、堅固なバランスシートを持つ急成長企業に興味があるのなら、当社のネットキャッシュ成長株リストをご覧いただきたい。