デービッド・アイベンは、『ボラティリティは我々が気にするリスクではない。我々が気にかけるのは、資本の永久的な損失を避けることである』。 事業が破綻する際には負債が絡むことが多いため、企業のリスクの高さを検討する際にバランスシートを考慮するのは当然のことだ。 重要なのは、NECネッツエスアイ(東証:1973)が負債を抱えていることだ。 しかし、この負債は株主にとって懸念事項なのだろうか?
負債はいつ危険なのか?
有利子負債やその他の負債が企業にとって危険となるのは、フリー・キャッシュ・フローや魅力的な価格での資本調達によって、その債務を容易に履行できない場合である。 最終的に、企業が法的な債務返済義務を果たせなくなった場合、株主は何も手にできなくなる可能性がある。 しかし、より一般的な(それでも痛みを伴う)シナリオは、低い価格で新たな株式資本を調達しなければならず、その結果、株主が恒久的に希薄化することである。 もちろん、負債もビジネス、特に資本の重いビジネスにおいては重要な手段となりうる。 企業がどの程度の負債を使用するかを検討する際に最初に行うべきことは、現金と負債を合わせて見ることである。
NECネットワークス&システムインテグレーションの負債は?
NECネットワークス&システムインテグレーションの有利子負債残高は、2024年9月時点で83.5億円と、1年前の107億円から減少している。 一方、現金は937億円あり、ネットキャッシュは854億円ある。
NECネッツエスアイの負債の状況
直近の貸借対照表を見ると、1年以内に返済期限が到来する負債が888億円、それ以 降に返済期限が到来する負債が315億円ある。 一方、現金は937億円、1年内回収予定の債権は1,071億円。 流動資産は負債を805億円上回っている。
バランスシートの流動性に余裕があり、負債を保守的に管理していることがうかがえ る。 資産に余裕があるため、借入先とトラブルになる可能性は低い。 簡単に言えば、NEC ネットワークス&システム・インテグレーションが負債よりも現金の方が多いという事実は、負債を安全に管理できるという良い兆候であることは間違いない。
NECネットワークス&システム・インテグレーションが12ヵ月間でEBITを9.8%増加させたことは朗報であり、債務返済に関する懸念が和らぐはずである。 負債水準を分析する場合、バランスシートが出発点となるのは明らかである。 しかし、NECネッツエスアイが長期的にバランスシートを強化できるかどうかは、最終的には事業の将来的な収益性によって決まる。 将来性を重視するのであれば、アナリストの利益予測を示したこの無料レポートをご覧ください。
最後に、企業が負債を返済できるのは、会計上の利益ではなく、冷徹な現金だけである。 NEC ネットワークス&システムインテグレー ションは貸借対照表にネットキャッシュを計上し ているが、そのキャッシュ残高の構築(または減 少)の速さを理解する上で、金利・税引前利益 (EBIT)をフリーキャッシュフローに変換する 能力を見る価値がある。 直近の3年間で、NECネッツエスアイはEBITの64%に相当するフリーキャッシュフローを記録している。 フリー・キャッシュ・フローが利子と税金を除いたものであることを考えれば、この冷え切ったキャッシュは、同社が負債を減らしたいときに減らせることを意味する。
まとめ
有利子負債を懸念する投資家の気持ちは理解できるが、NECネッツエスアイのネットキャッシュは854億円であり、流動資産は負債を上回っていることを念頭に置くべきである。 では、有利子負債はリスクなのか。そうとは思えない。 株価は一株当たり利益に連動する傾向がある。
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