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ケーズホールディングス(東証:8282)のバランスシートは健全か?

Published
TSE:8282

投資家としてリスクを考えるには、負債よりもむしろボラティリティが一番だと言う人もいるが、ウォーレン・バフェットは『ボラティリティはリスクと同義とは程遠い』と言ったのは有名な話だ。 つまり、賢い投資家たちは、企業のリスクを評価する場合、負債(通常は倒産に関わる)が非常に重要な要素であることを知っているようだ。 重要なのは、ケーズホールディングス(東証:8282)が負債を抱えていることだ。 しかし、この負債は株主にとって懸念材料なのだろうか?

負債がもたらすリスクとは?

借金は企業の成長を助けるツールだが、もし企業が貸し手に返済する能力がなければ、その企業は貸し手の言いなりになってしまう。 事態が本当に悪化すれば、貸し手は事業をコントロールすることができる。 このような事態はあまり一般的ではありませんが、負債を抱えた企業が、貸し手から窮迫した価格での資本調達を余儀なくされ、株主が恒久的に希薄化するケースはよく見られます。 もちろん、負債もビジネス、特に資本の重いビジネスにおいては重要な手段となりうる。 企業がどの程度の負債を利用しているかを考える際にまず行うべきことは、現金と負債を合わせて見ることである。

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ケーズホールディングスの負債額は?

ケーズホールディングスの有利子負債は2024年3月時点で448億円と、前年の501億円から減少している。 ただし、手元資金が163億円あるため、純有利子負債は285億円程度と少ない。

東証:8282 負債比率の推移 2024年7月30日現在

ケーズホールディングスのバランスシートの強さは?

貸借対照表の最新データを拡大すると、12カ月以内に返済期限が到来する負債が1,442億円、それ以降に返済期限が到来する負債が249億円ある。 これらの債務を相殺するために、同社は163億円の現金と321億円の債権を保有している。 つまり、現預金と(短期)売掛金の合計より負債の方が1,206億円多い。

ケーズホールディングスの時価総額は2,733億円であるため、増資によってバランスシートを強化することは可能だろう。 しかし、負債を返済していく能力については注視する価値がある。

私たちは、利益に対する負債水準について知るために、主に2つの比率を用いている。ひとつは、純有利子負債を利払い・税引き・減価償却・償却前利益(EBITDA)で割ったもので、もうひとつは、利払い・税引き前利益(EBIT)が支払利息を何倍カバーしているか(略してインタレスト・カバー)です。 このアプローチの利点は、負債の絶対額(EBITDAに対する純有利子負債)と、その負債に関連する実際の支払利息(インタレスト・カバレッジ・レシオ)の両方を考慮に入れることである。

ケーズホールディングスのEBITDA純有利子負債比率は0.84と低い。 また、EBITは109倍の規模であるため、支払利息を容易にカバーできる。 つまり、象がネズミに脅かされるのと同じように、ケーズホールディングスは負債によって脅かされているわけではないのだ。 ケーズホールディングスのEBITは昨年1年間で38%減少した。 業績が悪化すると、融資先との関係が悪化することもある。 負債を分析する際、バランスシートが重視されるのは明らかだ。 しかし、ケーズホールディングスが長期的にバランスシートを強化できるかどうかは、最終的には事業の将来的な収益性によって決まる。 そこで、将来を重視するのであれば、アナリストの利益予測を示したこの無料レポートをチェックしてみるとよいだろう。

最後に、企業が負債を返済できるのは、会計上の利益ではなく、冷厳な現金だけである。 したがって、EBITが対応するフリー・キャッシュ・フローにつながっているかどうかを見る必要がある。 過去3年間で、ケーズホールディングスのフリーキャッシュフローはEBITの28%で、予想より少なかった。 負債の返済を考えると、これはあまり良いとは言えない。

当社の見解

ケーズホールディングスのEBIT成長率とEBITからフリーキャッシュフローへの転換率は、我々の評価では間違いなく重荷である。 しかし、良いニュースは、EBITで容易に支払利息をカバーできることである。 上記の要因を総合すると、ケーズホールディングスの負債が事業にいくつかのリスクをもたらしていると考えられる。 そのため、レバレッジが株主資本利益率を押し上げるとはいえ、ここからさらにレバレッジが高まることはあまり望まない。 負債についてバランスシートから最も多くを学ぶことは間違いない。 しかし最終的には、どの企業もバランスシートの外に存在するリスクを含みうる。 そのため、 ケーズホールディングスについて我々が発見した 3つの警告サイン に注意する必要がある。

結局のところ、純債務から解放された企業に焦点を当てた方が良いことが多い。そのような企業の特別リスト(すべて利益成長の実績あり)にアクセスできます。無料です。