Stock Analysis

太平洋セメント(東証:5233)の負債にはリスクがあると考える

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TSE:5233

デービッド・アイベンは、『ボラティリティは我々が気にするリスクではない。我々が気にかけるのは、資本の永久的な損失を避けることだ』。 事業が破綻する際には負債が絡むことが多いため、企業のリスクの高さを検討する際にバランスシートを考慮するのは当然のことだ。 他の多くの企業と同様に、太平洋セメント株式会社(東証:5233)も負債を利用している。 しかし、より重要な問題は、その負債がどれほどのリスクを生み出しているかということだ。

負債がもたらすリスクとは?

一般的に言って、負債が現実的な問題となるのは、企業が資本調達や自らのキャッシュフローで容易に返済できない場合のみである。 最終的に、企業が法的な債務返済義務を果たせなければ、株主は何も手にすることができない。 しかし、より一般的な(それでも痛みを伴う)シナリオは、低い価格で新たな株式資本を調達しなければならず、その結果、株主が恒久的に希薄化することである。 もちろん、負債もビジネス、特に資本の重いビジネスにおいては重要な手段となりうる。 企業がどの程度の負債を使用するかを検討する際に最初に行うべきことは、現金と負債を合わせて見ることである。

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太平洋セメントの負債とは?

下のグラフをクリックすると過去の数字が表示されるが、2024年3月時点の有利子負債は3,705億円で、1年前の4,035億円から減少している。 ただし、現金は801億円あり、これを相殺すると純有利子負債は約2904億円となる。

東証:5233 負債資本比率の推移 2024年8月2日

太平洋セメントのバランスシートの強さは?

直近の貸借対照表では、12カ月以内に返済期限が到来する負債が3,681億円、12カ月以 内に返済期限が到来する負債が3,738億円となっている。 一方、現金は801億円、1年以内に回収予定の債権は2,077億円。 一方、現金は801億円、1年以内の債権は2,077億円で、現金と1年以内の債権を合わせると4,540億円の負債がある。

この不足額が同社の時価総額4,200億円を上回っていることを考えると、貸借対照表を注意深く見直したくなるのも無理はない。 同社がバランスシートを早急に一掃しなければならないシナリオでは、株主は大規模な希薄化を被る可能性が高いと思われる。

企業の収益に対する負債を評価するため、純負債をEBITDA(利払い・税引き・減価償却・償却前利益)で割り、EBIT(利払い・税引き前利益)を支払利息(インタレスト・カバー)で割って計算する。 したがって、減価償却費の有無にかかわらず、利益に対する負債を考慮する。

太平洋セメントのEBITDAに対する純有利子負債の比率(2.4)は緩やかで、負債に関しては慎重であることを示している。 また、1,000倍という高いインタレスト・カバレッジが、さらに安心感を高めている。 特筆すべきは、太平洋セメントのEBITがイーロン・マスクよりも高く、昨年比でなんと1,167%も増加していることだ。 私たちが貸借対照表から負債について最も多くを学ぶことは間違いない。 しかし、太平洋セメントが今後健全なバランスシートを維持できるかどうかを決めるのは、何よりも将来の収益である。 プロフェッショナルの意見を知りたい方は、アナリストの利益予測に関する無料レポートが面白いかもしれない。

最後に、企業が負債を返済できるのは、会計上の利益ではなく、冷徹な現金だけである。 そのため、EBITがフリーキャッシュフローに対応しているかどうかを見る必要がある。 過去3年間を見ると、太平洋セメントは全体としてキャッシュ・アウトを記録している。 フリー・キャッシュ・フローが不安定な企業にとって、借金ははるかにリスクが高いため、株主は過去の支出が将来フリー・キャッシュ・フローを生み出すことを期待すべきである。

当社の見解

太平洋セメントのEBITからフリー・キャッシュ・フローへの転換の難しさには若干の不安を感じるが、ポジティブな点もある。 特に、金利カバー率とEBIT成長率は明るい兆しである。 前述のすべての要因を考慮すると、太平洋セメントは負債を利用することである程度のリスクを取っているように思われる。 そのため、レバレッジが株主資本利益率を押し上げるとはいえ、ここからさらにレバレッジが高まることはあまり期待できない。 有利子負債を分析する際、バランスシートに注目すべきなのは明らかだ。 しかし最終的には、どの企業もバランスシートの外に存在するリスクを含みうる。 こうしたリスクを見つけるのは難しい。どの会社にもあるものだが、 太平洋セメントには知って おくべき 警告サインが1つ ある。

結局のところ、純有利子負債から解放された企業に注目した方が良い場合が多い。そのような企業の特別リスト(すべて利益成長の実績あり)にアクセスできる。無料です。