投資家としてリスクを考えるには、負債よりもむしろボラティリティが一番だと言う人もいるが、ウォーレン・バフェットは『ボラティリティはリスクと同義とは程遠い』と言ったのは有名な話だ。 つまり、賢い投資家たちは、企業のリスクを評価する際、負債(通常は倒産に関与する)が非常に重要な要素であることを知っているようだ。 誠建設株式会社(TSE:8995)は、事業において負債を使用していることがわかる。 しかし、より重要な問題は、その負債がどれほどのリスクを生み出しているかということだ。
借金はいつ危険なのか?
借金はビジネスを成長させるためのツールだが、もしビジネスが貸し手に返済できないのであれば、そのビジネスは貸し手の言いなりになってしまう。 資本主義の一部には「創造的破壊」のプロセスがあり、失敗した企業は銀行家によって容赦なく清算される。 しかし、より一般的な(それでも痛みを伴う)シナリオは、低価格で新たな株式資本を調達し、株主を恒久的に希薄化させることである。 もちろん、負債もビジネス、特に資本の重いビジネスにおいては重要な手段となりうる。 企業の負債の利用について考えるとき、我々はまず現金と負債を一緒に見る。
誠建設株式会社のネット有利子負債とは?
下の画像をクリックすると詳細が表示されるが、2024年3月時点の負債は14.6億円で、1年前の12.2億円から増加している。 一方、現金は13.9億円あり、純有利子負債は約7.10億円となっている。
誠建設株式会社の負債の状況
直近の貸借対照表によると、12カ月以内に返済期限が到来する負債が8億1,100万円、12カ月以 内に返済期限が到来する負債が12億6,000万円となっている。 一方、現金は13億9,000万円、1年以内に弁済期が到来する債権は6,900万円分ある。 つまり、現金と(短期)債権の合計より負債の方が5億9,900万円多い。
これは多いように思えるかもしれないが、誠建設の時価総額は14.1億円であるため、必要であれば増資によってバランスシートを強化することも可能であろう。 しかし、負債が過剰なリスクをもたらしているとの指摘には、常に注意を払いたい。
私たちは、利益に対する負債水準について知るために、主に2つの比率を使っている。ひとつは、純有利子負債を利払い・税引き・減価償却・償却前利益(EBITDA)で割ったもので、もうひとつは、利払い・税引き前利益(EBIT)が支払利息を何倍カバーしているか(略してインタレスト・カバー)である。 このアプローチの利点は、有利子負債の絶対額(EBITDAに対する純有利子負債)と、その有利子負債に関連する実際の支払利息(インタレスト・カバレッジ・レシオ)の両方を考慮することである。
誠建設はEBITDAに対する有利子負債比率が0.38と低い。 しかし、実に素晴らしいことに、同社は昨年1年間で、実際に支払った利息よりも多くの利息を受け取ることができた。 つまり、鉄板焼きシェフが調理をするように、同社は負債を処理することができるのだ。 実際、誠建設の救いは負債が少ないことだ。 収益が落ち込むと(この傾向が続けば)、最終的には控えめな負債でさえかなりリスキーになる可能性がある。 貸借対照表から負債について最もよくわかるのは間違いない。 しかし、バランスシートが将来どのように持ちこたえるかを左右するのは、誠建設株式会社の収益である。 だから、負債を検討する際には、間違いなく業績動向を見る価値がある。インタラクティブなスナップショットはこちら。
最後に、企業が負債を返済できるのは、会計上の利益ではなく、冷徹な現金のみである。 そのため、EBITがフリー・キャッシュフローにどれだけ裏付けられているかをチェックする価値がある。 過去3年間で、誠建設はEBITの17%に相当するフリー・キャッシュ・フローを報告している。 この低水準のキャッシュ・コンバージョンは、同社が負債を管理・返済する能力を弱めている。
当社の見解
誠建設のEBITの伸び率には若干の不安を感じるが、ポジティブな点もある。 有利子負債カバー率とEBITDA純有利子負債比率は明るい兆しである。 上記の要因を総合すると、誠建設は有利子負債が事業にリスクをもたらすと考えている。 そのため、レバレッジは株主資本利益率を押し上げるが、今後レバレッジが高まることはあまり望まない。 負債についてバランスシートから最も多くを学ぶことは間違いない。 しかし最終的には、どの企業もバランスシートの外に存在するリスクを含みうる。 例えば、 誠建設株式会社について、注意すべき3つの警告サイン(1つは深刻な可能性がある )を特定した。
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