株式分析

大日本印刷(東証:7912)のバランスシートは健全か?

TSE:7912
Source: Shutterstock

投資家としてリスクを考えるには、負債よりもボラティリティが一番だと言う人もいるが、ウォーレン・バフェットは『ボラティリティはリスクと同義語とは程遠い』と言ったのは有名な話だ。 事業が破綻する際には負債が絡むことが多いため、企業のリスク度を検討する際にバランスシートを考慮するのは当然のことだ。 他の多くの企業と同様、大日本印刷株式会社(TSE:7912)も、バランスシートを考慮する必要がある(東証:7912)は負債を利用している。 しかし、より重要な問題は、その負債がどれほどのリスクを生み出しているかということだ。

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一般的に言って、負債が現実的な問題となるのは、企業が資本調達や自らのキャッシュフローで簡単に返済できなくなった時だけである。 資本主義の一部には、失敗した企業が銀行家によって容赦なく清算される「創造的破壊」のプロセスがある。 このようなことはあまり一般的ではないが、負債を抱えた企業が、貸し手から窮迫した価格での増資を余儀なくされ、株主を永久に希薄化させることはよくあることだ。 もちろん、成長資金を調達するために負債を利用する企業も数多くあり、そのような企業には悪影響はない。 企業の負債レベルを検討する際の最初のステップは、現金と負債を一緒に検討することである。

大日本印刷の負債は?

下のグラフをクリックすると詳細が見られるが、2025年3月時点の負債額は1,620億円で、前年とほぼ同じである。 一方、現金は2,550億円あり、ネット・キャッシュは930億円ある。

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東証:7912 2025年6月12日の負債比率の推移

大日本印刷の負債の推移

貸借対照表の最新データを拡大すると、12カ月以内に返済期限が到来する負債が 4,358億円、それ以降に返済期限が到来する負債が2,733億円ある。 一方、現金は2,550億円、1年以内の売掛金は3,405億円。 つまり、現預金と1年以内の売掛金を合わせると1,136億円の負債があることになる。

大日本印刷の時価総額が9,662億円であることを考えると、これらの負債が大きな脅威になるとは考えにくい。 しかし、十分な負債があるため、今後もバランスシートを注視していくことを推奨する。 大日本印刷の負債は注目に値するが、現金の方が有利子負債より多いため、負債を安全に管理できると確信している。

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もう一つの良い兆候は、大日本印刷が12ヶ月間でEBITを24%増加させることができたことで、負債の返済をより容易にしている。 負債を分析する際、バランスシートが重視されるのは明らかだ。 しかし、大日本印刷が今後も健全なバランスシートを維持できるかどうかを決めるのは、何よりも将来の収益である。 プロフェッショナルの意見を知りたい方は、アナリストの利益予測に関する無料レポートが面白いかもしれない。

最後に、企業は負債を返済するためにフリーキャッシュフローを必要としている。 大日本印刷の貸借対照表にはネットキャッシュが計上されているかもしれないが、利払い・税引き前利益(EBIT)をフリーキャッシュフローにどれだけ変換しているかを見るのは興味深い。 過去3年間、大日本印刷が創出したフリー・キャッシュ・フローはEBITの15%に過ぎず、そのパフォーマンスは芳しくない。 私たちにとって、これほど低いキャッシュ・コンバージョンは、負債を消滅させる能力について、ちょっとした妄想を掻き立てる。

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総括

大日本印刷は流動資産より負債が多いとはいえ、930億円のネットキャッシュを保有している。 また、昨年度のEBIT成長率は24%であり、私たちを驚かせた。 だから、大日本印刷の負債使途に問題はない。 負債についてバランスシートから学ぶことが多いのは間違いない。 しかし最終的には、どの企業もバランスシートの外に存在するリスクを含みうる。 例えば、 大日本印刷には注意すべき2つの警告サイン(1つは深刻な可能性がある )がある。

それでもなお、堅固なバランスシートを持つ急成長企業に興味があるのであれば、当社のネットキャッシュ成長株リストをご覧いただきたい。

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This article has been translated from its original English version, which you can find here.

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