Stock Analysis

川口化学工業(東証:4361)のバランスシートはやや苦しい

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TSE:4361

デービッド・アイベンは、『ボラティリティは我々が気にするリスクではない。我々が気にかけるのは、資本の永久的な損失を避けることだ』。 つまり、賢い投資家たちは、倒産につきものの負債が、企業のリスクを評価する上で非常に重要な要素であることを知っているようだ。 重要なのは、川口化学工業(東証:4361)が負債を抱えていることだ。 しかし、より重要な問題は、その負債がどれほどのリスクを生み出しているかということだ。

負債はいつ問題になるのか?

借入金は、事業が新たな資本やフリー・キャッシュ・フローで返済するのが困難になるまで、事業を支援する。 事態が本当に悪化した場合、貸し手は事業をコントロールすることができる。 しかし、より一般的な(それでも痛みを伴う)シナリオは、低価格で新たな株式資本を調達しなければならず、その結果、株主が恒久的に希薄化することである。 とはいえ、最も一般的な状況は、企業が負債を合理的に管理し、自社に有利になるようにすることである。 企業の負債水準を検討する際の最初のステップは、現金と負債を一緒に検討することである。

川口化学工業の最新の分析をご覧ください。

川口化学工業の負債額は?

下記の通り、川口化学工業は2024年5月時点で30.9億円の負債を抱えている。グラフをクリックすると詳細を見ることができる。 ただし、手元資金が9億4,600万円あるため、純有利子負債は約21億5,000万円と少ない。

東証:4361 負債資本比率の推移 2024年8月16日

川口化学工業のバランスシートの健全性は?

貸借対照表の最新データを拡大すると、12カ月以内に返済期限が到来する負債が40.9億円、それ以降に返済期限が到来する負債が12.0億円ある。 これらの債務を相殺するために、同社は9億4,600万円の現金と、12ヶ月以内に期限の到来する27億円の債権を保有している。 つまり、現金と短期債権を合計すると16億5,000万円の負債がある。

時価総額17.2億円に対してレバレッジの山である。 貸し手からバランスシートの補強を求められた場合、株主は深刻な希薄化に直面する可能性が高い。

私たちは、純有利子負債をEBITDA(利払い・税引き・減価償却・償却前利益)で割り、EBIT(利払い・税引き・償却前利益)がどれだけ容易に支払利息をカバーできるか(インタレスト・カバー)を計算することによって、企業の収益力に対する負債負担を測定している。 この手法の利点は、負債の絶対額(EBITDAに対する純有利子負債)と、負債に関連する実際の支払利息(インタレスト・カバレッジ・レシオ)の両方を考慮することである。

川口化学工業の純有利子負債はEBITDAの2.7倍であり、レバレッジは大きいが妥当な額である。 しかし、インタレスト・カバレッジは28.6倍と非常に高く、借入金にかかる支払利息が現状ではかなり低いことを示唆している。 重要なのは、川口化学工業が過去12ヶ月間にEBITDAを80%成長させたことであり、この成長によって負債を処理しやすくなることである。 負債水準を分析する場合、バランスシートは当然の出発点である。 しかし、バランスシートが将来どのように持ちこたえるかを左右するのは、川口化学工業の収益である。 川口化学工業の収益についてもっと知りたければ、長期的な収益推移のグラフをチェックする価値があるだろう。

最後に、企業は負債を返済するためにフリーキャッシュフローを必要とする。 そこで論理的なステップとしては、EBITのうち実際のフリーキャッシュフローが占める割合を見ることである。 過去3年間の川口化学工業のフリー・キャッシュフローはEBITの2.4%であり、非常に低い。 私たちにとって、これほど低いキャッシュ・コンバージョンは、債務を消滅させる能力について少々パラノイアを掻き立てる。

当社の見解

川口化学工業のEBITからフリー・キャッシュフローへの転換率には神経質になっている。 しかし、金利カバー率とEBIT成長率には明るい兆しがある。 上記のあらゆる角度から見ると、川口化学工業は負債を抱えるため、ややリスクの高い投資であるように思われる。 すべてのリスクが悪いというわけではなく、それが実を結べば株価のリターンを押し上げることもあるが、この負債リスクは念頭に置いておく価値がある。 負債のレベルを分析する場合、バランスシートが出発点となるのは明らかだ。 しかし結局のところ、どの企業もバランスシートの外に存在するリスクを含みうる。 こうしたリスクを見つけるのは難しいかもしれない。 川口化学工業の3つの警告サイン (うち1つは気になる!)を見てみよう。

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