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三井物産(東証:8031)は危険な投資か?

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TSE:8031

デービッド・アイベンは、『ボラティリティは我々が気にするリスクではない。我々が気にかけるのは、資本の永久的な損失を避けることである』。 事業が破綻するときには負債が絡むことが多いので、企業のリスクの高さを調べるときにバランスシートを考慮するのは当然のことだ。 三井物産(東証:8031)のバランスシートを見ればわかる。(三井物産株式会社(東証:8031)は、事業において負債を使用している。 しかし、この負債は株主にとって問題なのだろうか?

負債はいつ問題になるのか?

借金はビジネスの成長を助けるツールだが、もしビジネスが貸し手に返済できないのであれば、そのビジネスは貸し手の言いなりになってしまう。 資本主義の一部には「創造的破壊」のプロセスがあり、破綻した企業は銀行家によって容赦なく清算される。 しかし、より一般的な(しかし依然としてコストのかかる)状況とは、単に負債をコントロールするために、企業が安い株価で株主を希薄化しなければならないような場合である。 もちろん、企業、特に資本の重い企業にとって、負債は重要な手段となりうる。 私たちは、企業の負債の使用について考えるとき、まず現金と負債を一緒に見ます。

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三井物産の負債額は?

下図をクリックすると詳細が表示されるが、2024年12月時点の三井物産の有利子負債は49.8億円で、前年とほぼ同水準である。 ただし、現金は9,489億円あるため、純有利子負債は4.04億円となる。

東証:8031 有利子負債比率の推移 2025年2月22日

三井物産のバランスシートの健全性は?

貸借対照表の最新データを拡大すると、12カ月以内に返済期限が到来する負債が39.9億円、それ以降に返済期限が到来する負債が5.60億円ある。 その一方で、現金9,489億円、12ヶ月以内に期限の到来する債権2.41億円がある。 つまり、現預金と(短期)売掛金の合計より負債の方が6.23億円多い。

時価総額が7.84兆円という巨大な企業であることを差し引いても、これはレバレッジの山である。 このことは、同社がバランスシートの補強を急ぐ必要がある場合、株主が大きく希薄化することを示唆している。

当社では、利益に対する負債水準について、主に2つの比率を用いている。ひとつは純有利子負債をEBITDA(金利・税金・減価償却費控除前利益)で割ったもので、もうひとつはEBIT(金利・税金・減価償却費控除前利益)が支払利息を何倍カバーしているか(略してインタレストカバー)である。 この手法の利点は、負債の絶対額(EBITDAに対する純有利子負債)と、その負債に関連する実際の支払利息(インタレスト・カバレッジ・レシオ)の両方を考慮に入れることである。

不思議なことに、三井物産のEBITDA倍率は5.5倍と非常に高く、有利子負債が多いことを意味するが、インタレスト・カバレッジは1,000倍と高い。 これは、同社が非常に安価な負債を利用できない限り、支払利息が将来的に増加する可能性が高いことを意味する。 残念なことに、三井物産のEBITは過去4四半期で17%減少している。 このまま収益が減少し続ければ、負債を処理するのは5歳以下の子ども3人を連れて高級レストランに行くよりも難しくなるだろう。 負債についてバランスシートから最も多くを学ぶことは間違いない。 しかし、三井物産が長期的にバランスシートを強化できるかどうかは、最終的には事業の将来の収益性で決まる。 だから、もしあなたが将来に注目しているなら、アナリストの利益予測を示したこの無料レポートをチェックすることができる。

最後に、税務署は会計上の利益を喜ぶかもしれないが、金融機関は現金しか認めない。 そのため、EBITがフリー・キャッシュフローにどれだけ裏付けられているかをチェックする価値がある。 過去3年間、三井物産はEBITよりもフリー・キャッシュ・フローの方が多かった。 金融機関の機嫌を損ねないためには、現金の流入に勝るものはない。

当社の見解

三井物産のEBITDAに対する純有利子負債の難易度には若干の不安を感じるが、我々はポジティブな点にも注目している。 例えば、金利カバー率やEBITからフリー・キャッシュ・フローへの転換は、三井物産の負債管理能力に自信を与えてくれる。 前述のすべての要因を考慮すると、三井物産は負債を活用することである程度のリスクを取っているように思われる。 そのため、レバレッジは株主資本利益率を押し上げるが、今後レバレッジが高まることはあまり期待できない。 負債水準を分析する場合、バランスシートが出発点となるのは明らかだ。 しかし最終的には、どの企業もバランスシートの外に存在するリスクを含みうる。 例えば、我々は 三井物産の3つの警告サイン(2つは無視できない)を 特定した。

もちろん、もしあなたが負債を背負わずに株を買いたいタイプの投資家なら、迷わず当社の純現金成長株リストをご覧いただきたい。