Stock Analysis
投資家としてリスクを考えるには、負債よりもボラティリティが一番だと言う人もいるが、ウォーレン・バフェットは『ボラティリティはリスクと同義語とは程遠い』と言ったのは有名な話だ。 事業が破綻するときには負債が絡んでくることが多いのだから、企業のリスク度合いを調べるときにバランスシートを考慮するのは当然のことだ。 重要なのは、大林組(東証:1802)が負債を抱えていることだ。 しかし、より重要な問題は、その負債がどれほどのリスクを生み出しているかということだ。
借金はいつ問題になるのか?
借金は企業の成長を助けるツールであるが、もし企業が貸し手に返済する能力がなければ、その企業は貸し手の言いなりになってしまう。 最終的に、企業が法的な債務返済義務を果たせなければ、株主は何も手にすることができない。 しかし、より頻繁に発生する(それでもコストがかかる)のは、バランスシートを補強するためだけに、企業がバーゲン価格で株式を発行し、株主を永久に希薄化させなければならない場合である。 もちろん、負債の利点は、それがしばしば安価な資本を意味することであり、特に企業の希薄化を高い収益率で再投資する能力に置き換えた場合である。 企業の負債の使用について考えるとき、我々はまず現金と負債を一緒に見る。
大林組の負債額は?
下記の通り、2024年6月末時点で大林組の有利子負債は3,944億円で、1年前の3,638億円から増加している。詳細は画像をクリック。 ただし、現金は2,668億円あるため、純有利子負債は1,276億円となる。
大林組のバランスシートの健全性は?
貸借対照表の最新データを拡大すると、12カ月以内に返済期限が到来する負債が1.38億円、それ以降に返済期限が到来する負債が4,045億円あることがわかる。 一方、現金は2,668億円、12ヶ月以内に返済期限の到来する債権は11億7,000万円である。 つまり、負債は現金と短期債権の合計より3,498億円多い。
大林組の時価総額は13.4億円なので、いざとなれば現金を調達してバランスシートを改善できる可能性は高い。 しかし、同社の負債が過大なリスクをもたらしているという兆候には、ぜひ目を光らせておきたい。
私たちは、利益に対する負債水準について知るために、主に2つの比率を用いる。ひとつは、純有利子負債を利払い・税引き・減価償却・償却前利益(EBITDA)で割ったもので、もうひとつは、利払い・税引き前利益(EBIT)が支払利息を何倍カバーしているか(略してインタレストカバー)である。 従って、減価償却費の有無にかかわらず、利益に対する負債を考慮する。
大林組の純負債はEBITDAのわずか1.1倍であり、汗をかくことなくレバレッジを拡大できることを示唆している。 しかし、実に素晴らしいことに、大林組は昨年1年間で、支払った利息よりも多くの利息を受け取ることができた。 つまり、この会社がキュウリのように冷静でいながら負債を負うことができるのは間違いない。 大林組はEBITラインではあまり利益を得ていないようだが、少なくとも今のところ収益は安定している。 負債残高を分析する場合、バランスシートを見るのは当然である。 しかし、大林組が今後健全なバランスシートを維持できるかどうかを決めるのは、何よりも将来の収益である。 プロがどう考えているか知りたい方は、アナリストの利益予測に関する無料レポートが面白いかもしれない。
最後に、企業が負債を返済できるのは、会計上の利益ではなく、冷厳な現金だけである。 そのため、EBITがフリー・キャッシュ・フローにどれだけ裏付けられているかをチェックする価値がある。 直近の3年間を見ると、大林組のフリー・キャッシュフローはEBITの25%で、これは予想より弱い。 このキャッシュフローの弱さは、負債の処理を難しくする。
当社の見解
バランスシートに関して言えば、大林組の際立ったプラス要因は、EBITで支払利息をカバーできていると思われる点である。 しかし、上記で指摘した他の要因はそれほど心強いものではない。 例えば、EBITをフリー・キャッシュフローに変換するのに少し苦労しているようだ。 上記のすべての要素を考慮すると、大林組は負債をかなりうまく管理しているように思える。 とはいえ、その負担は十分に重いため、株主の皆様には注視していただくことをお勧めしたい。 負債を分析する際、バランスシートに注目すべきなのは明らかだ。 しかし結局のところ、どの企業もバランスシートの外に存在するリスクを含んでいる可能性がある。 例えば、 大林組には注意すべき2つの警告サインが ある。
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Obayashi
Engages in the construction business in Japan, North America, Asia, the Middle East, Europe, and Oceania.