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サッポロホールディングス(東証:2501)は負債が多すぎる?

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TSE:2501

投資家としてリスクを考えるには、負債よりもむしろボラティリティが一番だと言う人もいるが、ウォーレン・バフェットは『ボラティリティはリスクと同義語とは程遠い』と言ったのは有名な話だ。 負債が多すぎると企業が沈没する可能性があるからだ。 サッポロホールディングス(東証:2501)の貸借対照表には負債がある。 しかし、この負債は株主にとって懸念材料なのだろうか?

負債はいつ危険なのか?

有利子負債やその他の負債が企業にとって危険となるのは、フリーキャッシュフローや魅力的な価格での資本調達によって、その負債を容易に履行できなくなった時である。 事態が本当に悪化すれば、貸し手は事業をコントロールすることができる。 このような事態はあまり一般的ではありませんが、負債を抱えた企業が、貸し手によって窮迫した価格での資本調達を余儀なくされ、株主が恒久的に希薄化するケースはよく見られます。 もちろん、負債もビジネス、特に資本の重いビジネスにおいては重要な手段となりうる。 私たちは、企業の負債の使用について考えるとき、まず現金と負債を一緒に見ます。

サッポロホールディングスの最新の分析をご覧ください。

サッポロホールディングスの負債額は?

以下の通り、サッポロホールディングスの有利子負債は2024年3月時点で2,357億円で、前年とほぼ同水準である。グラフをクリックすると詳細を見ることができる。 ただし、手元資金が217億円あるため、ネット有利子負債は約2,140億円と少なくなっている。

東証:2501 負債資本比率の推移 2024年6月27日

サッポロホールディングスのバランスシートの強さは?

最新の貸借対照表を見ると、1年以内に期限の到来する負債が1,873億円、それ以降に期限の到来する負債が2,921億円ある。 一方、現金は217億円、12ヶ月以内に期限の到来する債権は775億円ある。 つまり、負債は現金と短期債権の合計より3,802億円多い。

時価総額4,380億円に対して、レバレッジの山である。 貸し手からバランスシートの補強を求められた場合、株主は深刻な希薄化に直面する可能性が高い。

企業の収益に対する有利子負債を評価するために、ネット有利子負債をEBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)で割り、EBIT(利払い前・税引き前利益)を支払利息(インタレストカバー)で割って計算する。 この手法の利点は、有利子負債の絶対額(EBITDAに対する純有利子負債)と、その負債に関連する実際の支払利息(インタレスト・カバレッジ・レシオ)の両方を考慮に入れることである。

サッポロホールディングスのEBITDA倍率は5.6倍と非常に高く、有利子負債が多いことを意味するが、インタレスト・カバレッジは20.1倍と高い。 これは、同社が非常に安価な負債を利用できない限り、支払利息が将来的に増加する可能性が高いことを意味する。 サッポロホールディングスのEBITが雨後の竹のように急上昇し、過去1年間で64%増加したことは注目に値する。これで負債を管理しやすくなるだろう。 負債についてバランスシートから最も多くを学ぶことは間違いない。 しかし、サッポロホールディングスが長期的にバランスシートを強化できるかどうかは、最終的には事業の将来的な収益性によって決まる。 プロの意見を知りたい方は、アナリストの利益予測に関する無料レポートが面白いかもしれない。

最後に、企業が負債を返済できるのは、会計上の利益ではなく、冷厳な現金だけである。 したがって、EBITが対応するフリーキャッシュフローにつながっているかどうかを見る必要がある。 株主にとって喜ばしいことに、サッポロホールディングスは過去3年間、EBITを上回るフリーキャッシュフローを生み出している。 金融機関の機嫌を損ねないためには、現金の流入に勝るものはない。

当社の見解

良いニュースは、サッポロホールディングスがEBITで支払利息をカバーする能力を実証したことである。 しかし、サッポロホールディングスのEBITDAに対する純有利子負債には懸念がある。 これらのことを考慮すると、サッポロホールディングスは現在の負債水準を快適に処理できるように見える。 もちろん、このレバレッジは株主資本に対するリターンを高めることができる反面、より多くのリスクをもたらすので、この点については注視する価値がある。 負債水準を分析する場合、バランスシートから始めるのは当然である。 しかし最終的には、どの企業も貸借対照表の外に存在するリスクを含みうる。 我々は、 サッポロホールディングスについて 1つの警告サインを特定 した。

それでもなお、堅固なバランスシートを持つ急成長企業に興味があるのであれば、当社のネットキャッシュ成長株リストをご覧いただきたい。