投資家としてリスクを考えるには、負債よりもむしろボラティリティが一番だと言う人もいるが、ウォーレン・バフェットは『ボラティリティはリスクと同義とは程遠い』と言ったのは有名な話だ。 つまり、賢い投資家は、企業のリスクを評価する際、負債(通常倒産に関わる)が非常に重要な要素であることを知っているようだ。 重要なのは、三井物産株式会社(東証:8031)である。(TSE:8031) は負債を抱えている。 しかし本当の問題は、この負債が会社を危険なものにしているかどうかだ。
負債がもたらすリスクとは?
借入金は、事業が新たな資本やフリー・キャッシュ・フローで返済に窮するまで事業を支援する。 事態が本当に悪化した場合、貸し手は事業をコントロールすることができる。 これはあまり一般的なことではないが、負債を抱えた企業が、貸し手によって窮迫した価格での資本調達を余儀なくされ、株主が恒久的に希薄化することはよく見られる。 しかし、希薄化に取って代わることで、負債は、高い収益率で成長に投資するための資金を必要とする企業にとって、非常に優れた手段となり得る。 企業がどの程度の負債を使用するかを検討する際に最初に行うべきことは、現金と負債を合わせて見ることである。
三井物産のネット有利子負債とは?
下のグラフをクリックすると詳細が表示されるが、2024年6月の三井物産の有利子負債は5.01億円で、前年とほぼ同じである。 ただし、1.04億円の現金があり、これを相殺するとネット借入金は約3.98億円となる。
三井物産のバランスシートの強さは?
直近の貸借対照表を拡大すると、12ヶ月以内に返済期限が到来する負債が4.45億円、それ以降に返済期限が到来する負債が5.37億円ある。 一方、現金は1.04億円、1年以内に回収予定の債権は2.47億円ある。 つまり、現預金と(短期)売掛金の合計より負債の方が6.32t多い。
時価総額が9.50兆円という巨大な企業であるにもかかわらず、これはレバレッジの山である。 このことは、同社がバランスシートの補強を急ぐ必要がある場合、株主が大きく希薄化することを示唆している。
この指標は、純有利子負債をEBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)で割り、EBIT(利払い前・税引き前利益)がどれだけ容易に支払利息をカバーできるか(インタレスト・カバー)を計算することによって、企業の収益力に対する負債負担を測定するものである。 この手法の利点は、負債の絶対額(EBITDA に対する純有利子負債)と、その負債に関連する実際の支払利息(インタレスト・カバレッジ・レシオ)の両方を考慮することである。
三井物産の純有利子負債はEBITDAの4.9倍であり、レバレッジは大きいがまだ妥当な額である。 しかし、インタレスト・カバレッジは1,000倍と非常に高く、借入金にかかる支払利息が現在かなり低いことを示唆している。 悪いニュースは、三井物産のEBITが昨年17%減少したことだ。 このような落ち込みを食い止めなければ、負債を管理するのはブロッコリー味のアイスクリームをプレミアム価格で売るよりも難しくなるだろう。 負債を分析する際、バランスシートが重視されるのは明らかだ。 しかし、三井物産が今後健全なバランスシートを維持できるかどうかを決めるのは、何よりも将来の収益である。 そこで、将来に注目するのであれば、アナリストの利益予測を示したこの無料レポートをチェックしていただきたい。
最後に、企業が負債を返済できるのは、会計上の利益ではなく、冷厳な現金だけである。 そこで論理的なステップは、実際のフリー・キャッシュ・フローに見合ったEBITの割合を見ることである。 過去3年間、三井物産はEBITを上回るフリー・キャッシュ・フローを生み出してきた。 金融機関の機嫌を損ねないためには、現金の流入に勝るものはない。
当社の見解
三井物産のEBIT成長率には神経質になっている。 金利カバー率とEBITからフリー・キャッシュ・フローへの転換率には明るい兆しがある。 上記のあらゆる角度から見ると、三井物産は負債を抱えるため、ややリスクの高い投資であるように思われる。 すべてのリスクが悪いというわけではなく、それが実を結べば株価のリターンを押し上げる可能性もあるが、この負債リスクは念頭に置いておく価値がある。 負債水準を分析する場合、バランスシートから始めるのは当然である。 しかし結局のところ、どの企業もバランスシートの外に存在するリスクを含みうる。 こうしたリスクを見つけるのは難しいかもしれない。 三井物産は4つの警告サイン (うち2つは無視できない!)を発見した。
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